「PCB実装依頼:Elecrow」の版間の差分

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== 前置き ==
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基板実装を依頼するためには、部品を生産場所に届ける必要がありす。
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その手段は、いくつかあります。
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# 手持ちの部品を送る。
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# 部品を手配してもらう。入手先は指定しない。
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# 部品入手先の一覧を送り、手配してもらう。
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1:通常は実装費が最も安くなりますが、発送手数料が追加になります。余った部品を送り返してもらうか、廃棄するかを決める必要があります。実装機に適した形態かどうか、デジケータでの除湿、酸化の有無、鉛フリーに対してどうか?等、こちら側の確認事項は最も多くなります。
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2:新品を依頼するので、実装機の仕様に合った部品になるため、実装の問題はなくなります。しかし、Elecrow等の一部のPCBメーカーは標準部品を在庫していないため、あまり効果がない事もあります。
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3:指定した入手先から指定部品を買ってもらう方法です。実装機の仕様に合ったパッケージを指定しないと手実装になる事があります。コストダウンは見込めません。
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2と3は購入を依頼するため、購入手数料として部品単価の0.5~1.0倍を請求される事があります。さらに実装費が追加になります。大抵のPCBメーカーでは実装費と購入手数料を分けた見積もりを作らないため、気付かない人が多いかもしれません。
 
== 実装依頼の準備 ==
 
== 実装依頼の準備 ==
 
::{| class="wikitable"
 
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|+部品実装(PCBA)を依頼するための準備
 
|+部品実装(PCBA)を依頼するための準備
 
!購入方法
 
!購入方法
| colspan="2" |実装業者(Elecrow)に連絡して、実装する部品を購入する方法を決める。
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選択肢①:依頼者が手配してElecrowに送り、実装してもらう。
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選択肢①:依頼者が手配してElecrowに送る
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選択肢②:Elecrowで購入
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|①フロー(wave)実装する場合には全ての部品がPbFreeである事が必要です。
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②何を何個どういう形態でどこから購入するかを相談する必要があります。
  
選択肢②:Elecrowに購入してもらう。
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 余った部品をどうするかも決めます。
|①フロー(wave)実装する場合には全ての部品がPbFreeである事。
 
  
②何を何個どういう形態でどこから購入するかを相談する。
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 ただし、購入依頼をする手数料を含めると、部品単価が約1.6倍に増えるので
  
 余った部品をどうするかも決める。
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 考慮しておく必要があります。
 
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!実装方法
 
!実装方法
| colspan="2" |実装方法に合った部品形態にする。
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| colspan="2" |実装方法に合った部品形態にします。
 
取り付け方法:手挿し/自動実装(SMD/ラジアル)
 
取り付け方法:手挿し/自動実装(SMD/ラジアル)
  
 
半田付け方法:フロー(wave)/リフロー
 
半田付け方法:フロー(wave)/リフロー
|実装業者と相談の上で、工程をイメージして部品を手配する。
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|実装業者と相談の上で、工程をイメージして部品を手配します。
・Elecrowは標準でストックしている部品はない。
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ただし、Elecrowは標準でストックしている部品はありません。
  
 P板/Seeedはある程度のSMD部品を標準的に在庫している。
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 (P板/Seeedは標準的なSMD部品を在庫)
 
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|+Posion出力
 
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|Pcbnewで、部品配置ファイルを出力する。
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|+部品表出力
 
|+部品表出力
 
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|Pcbnewで、部品配置ファイルを出力する。
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|Original
 
|Original
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独自の名前の場合、(DigiKey等):Y
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こちらから指定した販売店から購入してもらう場合には"Y"
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|Note
 
|Note
 
|実装上の補足事項
 
|実装上の補足事項
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|} これ以外に、Noteよりさらに右のセルには購入先URL,連絡先,データシートのURL 等の必要な情報を掲載しておく必要があります。特にフォーマットはありません。
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::部品は、深圳から購入可能であれば大抵は入手可能なようです。ただし納期は要確認です。。
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::・Digikey/Aliexpress:問題なし。 
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::・チップワンストップ:問題なし。※深圳に販売店あり。
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::・RSコンポーネンツ:問題なし。※香港に販売店あり。
 
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=== データの取り込み方のコツ ===
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=== データの出力のコツ ===
<blockquote>●回路図エディターでシンボルフィールドディタ―を表示
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<blockquote>BOM(部品表)を出力する時には、下記設定がオススメです。
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●回路図エディターでシンボルフィールドエディタ―を表示
  
 
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●定数でグループ化した表を コピー("CTRL"+"A"、"CTRL"+"C" )
 
●定数でグループ化した表を コピー("CTRL"+"A"、"CTRL"+"C" )
 
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 BOMにペースト("CTRL"+"V")とやると、ほぼできあがります。</blockquote>
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=== 部品番号の付け方 ===
 
=== 部品番号の付け方 ===
<blockquote>DigiKey/Mouserのように、独自の独自の部品番号を付けているこのZIPファイルを添付します。場合には、
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<blockquote>DigiKey/Mouserのように、独自の独自の部品番号を付けている場合には、BOMの最後に赤字で記載してあるように、
 
 
BOMの最後に赤字で記載してあるように、
 
  
部品名の蘭にはメーカーの部品番号ではなく、購入店の部品番号を記載し、
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部品名の蘭にはメーカーの部品番号ではなく、購入店の部品番号を記載します。
  
"Original"の蘭に"Y"を記入します。
 
  
  
 
例えばDigiKeyから仕入れる場合、"Digikey Part Number" を記入します。
 
例えばDigiKeyから仕入れる場合、"Digikey Part Number" を記入します。
  
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=== Parts Mapping(配置図) ===
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Position File
 
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  KiCADが出力する角度そのままでも問題ないと思います。
 
  KiCADが出力する角度そのままでも問題ないと思います。
 
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== 発注方法 ==
 
== 発注方法 ==

2023年1月29日 (日) 16:19時点における最新版

前置き

基板実装を依頼するためには、部品を生産場所に届ける必要がありす。

その手段は、いくつかあります。

  1. 手持ちの部品を送る。
  2. 部品を手配してもらう。入手先は指定しない。
  3. 部品入手先の一覧を送り、手配してもらう。

1:通常は実装費が最も安くなりますが、発送手数料が追加になります。余った部品を送り返してもらうか、廃棄するかを決める必要があります。実装機に適した形態かどうか、デジケータでの除湿、酸化の有無、鉛フリーに対してどうか?等、こちら側の確認事項は最も多くなります。

2:新品を依頼するので、実装機の仕様に合った部品になるため、実装の問題はなくなります。しかし、Elecrow等の一部のPCBメーカーは標準部品を在庫していないため、あまり効果がない事もあります。

3:指定した入手先から指定部品を買ってもらう方法です。実装機の仕様に合ったパッケージを指定しないと手実装になる事があります。コストダウンは見込めません。

2と3は購入を依頼するため、購入手数料として部品単価の0.5~1.0倍を請求される事があります。さらに実装費が追加になります。大抵のPCBメーカーでは実装費と購入手数料を分けた見積もりを作らないため、気付かない人が多いかもしれません。

実装依頼の準備

部品実装(PCBA)を依頼するための準備
購入方法 実装業者(Elecrow)に連絡して、実装する部品を購入する方法を決めます。

選択肢①:依頼者が手配してElecrowに送る

選択肢②:Elecrowで購入

①フロー(wave)実装する場合には全ての部品がPbFreeである事が必要です。

②何を何個どういう形態でどこから購入するかを相談する必要があります。

 余った部品をどうするかも決めます。

 ただし、購入依頼をする手数料を含めると、部品単価が約1.6倍に増えるので

 考慮しておく必要があります。

実装方法 実装方法に合った部品形態にします。

取り付け方法:手挿し/自動実装(SMD/ラジアル)

半田付け方法:フロー(wave)/リフロー

実装業者と相談の上で、工程をイメージして部品を手配します。

ただし、Elecrowは標準でストックしている部品はありません。

 (P板/Seeedは標準的なSMD部品を在庫)

実装依頼用データの出力

Posion出力
Pcbnewで、部品配置ファイルを出力します。


●"ファイル"→"製造用出力"→"部品配置ファイル(.pos)"を開く。

KiCAD-Pcbnew-SavePos.jpg


●"出力ディレクトリ"は任意の場所を設定する。

 "~相対パスを使用しますか?"の小ウィンドウが出るので "はい(Y)" をクリック。


●他は下図の通りに設定する。

KiCAD-Pcbnew-Position2.jpg


●ボタン "部品配置ファイルを生成" を押してファイルを出力する。

(ファイル名)-bottom-pos.csv  下面
(ファイル名)-top-pos.csv  上面


部品表出力
Pcbnewで、部品配置ファイルを出力します。


●"ファイル"→"製造用出力"→"部品表..."を開き、保存する。

KiCAD-Pcbnew-SavePartslist.jpg
(ファイル名).csv 

●部品表(~.csv)はそのままではExcelで開けないため、変換する。

①区切りコード: ";" → ","

②文字コード : UTF8 → SHIFT-JIS

 別の名前で保存し、EXCELで開けるようにしておく。

 ※このファイル自体は送らない。



部品実装(PCBA)の見積依頼書(PCBA-Quotation.xlsx)の作成

見積依頼テンプレート(Template-for-PCBA-Quotation.xlsx)の内容を順に描き込んでいきます。

PCB Specification
1行目は実装枚数、それ以外は試作したPCBのSPECです。

Elecrowで試作したらわかっているはずですが、再度記入します。


KiCAD-Pcbnew-Quotation1.jpg

PCB Quantity 実装する枚数
Layer PCBの層数
PCB Thickness PCBの厚さ
Dimensions PCBの外形寸法
Castellated Hole PCBの基板端の端面スルーホールの有無

有り:Yes/無し:No

PCB Color PCBのレジストの色
Surface Finish PCB製造時の表面処理

 HASL      有鉛半田レベラー

 HASL Lead Free 鉛フリー半田レベラー

 Immersion gold 無電解ニッケル/置換金メッキ

 OSP       有機はんだ付け性保存剤

Copper Weight PCBの銅箔厚

1oz t≒35μm

2oz t≒70μm

Text Color PCBのシルクの色
Different Design 実装時の1枚のPCBの中にある割基板の枚数


BOM
KiCAD-Pcbnew-Quotation2.jpg # 通し番号
Reference 回路図中のReference
QTY 使用数
Value 定数(回路図記載の値)
Package パッケージ名

(FootPrintでいいかも?)

Manufacturer Part Number メーカーの部品番号

(右の説明参照)

Description 部品の種類:Capacitors/Resistors/LED等
SMD 表面実装デバイスの数
THT スルーホール実装デバイスの数
Original ここは記入しなくてもいい。後でElecrowが記入する所。

こちらから指定した販売店から購入してもらう場合には"Y" 違う所から調達する場合には"N"と書かれてくる。

Note 実装上の補足事項
これ以外に、Noteよりさらに右のセルには購入先URL,連絡先,データシートのURL 等の必要な情報を掲載しておく必要があります。特にフォーマットはありません。
部品は、深圳から購入可能であれば大抵は入手可能なようです。ただし納期は要確認です。。
・Digikey/Aliexpress:問題なし。
・チップワンストップ:問題なし。※深圳に販売店あり。
・RSコンポーネンツ:問題なし。※香港に販売店あり。

データの出力のコツ

BOM(部品表)を出力する時には、下記設定がオススメです。

●回路図エディターでシンボルフィールドエディタ―を表示

KiCAD-Pcbnew-Quotation2-1a.jpg


●定数でグループ化した表を コピー("CTRL"+"A"、"CTRL"+"C" )

KiCAD-Pcbnew-Quotation2-1b.jpg

  BOMにペースト("CTRL"+"V")とやると、ほぼできあがります。

部品番号の付け方

DigiKey/Mouserのように、独自の独自の部品番号を付けている場合には、BOMの最後に赤字で記載してあるように、

部品名の蘭にはメーカーの部品番号ではなく、購入店の部品番号を記載します。


例えばDigiKeyから仕入れる場合、"Digikey Part Number" を記入します。

KiCAD-Pcbnew-Quotation2-2.jpg

Parts Mapping(配置図)

Parts Mapping
KiCAD-Pcbnew-Quotation3.jpg PCB上の部品の位置情報の絵を下記手段で作り、貼り付けます。

①Pcbnewで印刷ボタンを押す

②"含まれるレイヤー"で、F.Paste/F.Silkscreen/Edge.Cutsに

 チェックを入れて、"印刷"を押す。

③プリンターの選択で"Microoft Print to PDF"を選び、

 "印刷"を押す。

④保存したPDFをAcrobat DCで開き、

  "名前を付けて保存"

  "別のフォルダーを選択..."

  ファイルの種類で画像形式(jpg等)を選んで保存

⑤画像から不要なデータ(シルク,VIA)を消す


実際に実装を依頼する時には、この情報だけでは足りません。

SMD自動実装工程の後に、THT自動/手挿入工程があり、

熱に弱い部品の指示があれば別途送る必要があります。

※このページの下の方に追記する手もあります。

Position File
KiCAD-Pcbnew-Quotation4.jpg 部品配置ファイル(~top-pos.csv / ~bottom-pos.csv)の中の

情報をコピーします。


※Templateでは"Rotation"が 90~360 度になっていますが、

  KiCADが出力する角度そのままでも問題ないと思います。

発注方法

実装を含む場合にはPCB製造依頼のWEBページ(Elecrow) から依頼できないため、

先にEメールで相談する必要があります。

PCB発注時にここまでの資料ができあがっていれば、おおよそ問題ないと思います。


ただし、まだ見積依頼の段階なので、金額も作業の可否もスケジュールも未定です。